INQBOXというサービスをリリースしました

#SaaS#Web開発#受託開発

パーティーハード株式会社では、Webサイトの問い合わせ対応を効率化するSaaS「INQBOX(インキュボックス)」を正式にリリースしました。

弊社ではこれまで、受託開発や自社事業を通じて、PHP(Symfony、Laravel)を用いたバックエンドシステムから、NextjsやVueによるWebフロントエンドまで、多岐にわたる実装を手がけてきました。その現場で繰り返し直面してきた問題の一つが、問い合わせフォームの設置と運用にまつわる摩擦です。フォーム自体の実装は小規模に見えるものの、日々の運用では営業メールの選別作業に時間を奪われ、開発の現場ではサーバーサイドの配信処理やスパム対策に工数を割かれ続けていました。

INQBOXは、営業メールやスパムによる重要なお問い合わせの見落としを防ぎ、バックエンドの実装コストをかけることなく自由なデザインのフォームを設置できる環境を提供します。

開発に至った2つの背景と課題

本サービスの開発に至った背景には、日常のサイト運用における業務負荷と、開発環境の変化に伴う実装上の摩擦という2つの課題が存在していました。

第一の課題は、フォームから送られてくる大量の営業メールや宣伝スパムにより、見込み顧客からの連絡が埋もれてしまう点です。多くのWebサイトでは、一般的なお問い合わせと営業提案が同一の受信トレイに届きます。結果として、担当者は毎朝数十件の売り込みメールを目視で選別しなければならず、本来優先すべき顧客からの相談への返信が遅れる要因になっていました。受信トレイの通知を監視し続ける作業は集中力を削ぎ、確認漏れによる機会損失の危険を常に抱えさせます。

第二の課題は、Webフロントエンドの構築が容易になった一方で、フォームのバックエンド処理が開発のボトルネックとして残っている点です。近年の生成AI支援ツール(v0やCursorなど)の進化により、LPや静的サイトのマークアップは短時間で完了できるようになりました。しかし、入力内容の検証、メール送信サーバー(SMTP)の設定、スパム対策用キャプチャの導入といった工程は、依然として手作業で構築する必要があります。

もちろん、既存のノーコードフォーム作成ツールを利用する選択肢もあります。ただし、外部ツールの多くは埋め込み用フレーム(iframe)や規定のスタイルシートに依存しており、サイト独自のデザイン規約を適用しにくい制約が存在します。また、月額費用が個人開発や初期フェーズの事業規模に見合わない場合も少なくありません。その結果、デザインの自由度を保ちながら、保守の手間を抑えて導入できるフォーム基盤の選択肢が限られていました。

INQBOXが提供する解決策と主な特徴

INQBOXは、こうした運用と開発の双方に残る課題を解消するため、最小限の記述で既存のフロントエンドと連携できる仕組みを備えています。

最大の特徴は、HTMLとJavaScriptのコードを2行だけ埋め込めば済むことです。

<script src="https://inqbox.jp/widget.js" data-key="あなたの公開キー"></script>
<div data-inqbox-form></div>
script に async は付けないでください

詳しくは公式ドキュメントをご確認下さい。

この構成により、CSSフレームワークや独自のデザインシステムを崩さず、静的ホスティング環境のまま運用を継続できます。

加えて、届いたメッセージを選別するための管理機能を標準で提供しています。送信された投稿は自動的に機械的なスパム判定を受け、営業目的の連絡と一般の問い合わせに分類されます。通知先をSlackに連携できるため、優先度の高い連絡だけを即座に把握し、不要な営業メールに作業を妨げられる心配がありません。

さらに、メール配信用のSMTPサーバーやAPIサーバーの保守が完全に不要になります。送信元の認証設定(SPFやDKIMの管理)や、アクセス急増時のインフラ負荷対策を個別に行う必要がなく、安全で可用性の高いフォーム運用を実現できます。

想定される活用シーン

INQBOXは、開発規模や運用形態に合わせて柔軟に導入できます。

代表的な活用先の一つが、Cursorやv0などのAIツールで迅速に立ち上げた新規事業LPや特設サイトです。デザインの生成から静的ページのホスティングまでは数時間で完了しても、バックエンドの環境構築に数日を要しては公開スピードが落ちてしまいます。INQBOXを送信先に指定すれば、サーバーを用意することなく即座にお問い合わせの受付を開始できます。

次に、受託案件におけるフォームの設置手段としても有用です。受託制作では、クライアントごとに通知先を分けたり、営業連絡用とサポート窓口用で担当者の通知先を振り分けたりする要件が頻繁に生じます。INQBOX上でフォームごとに通知先ウェブフックを切り替える設定を行えば、ソースコード側に個別の送信処理を書き込まずに要件を満たせます。

もう一つの用途が、複数人のチームで行う問い合わせ対応のステータス管理です。個人のメールアドレスに直接通知を送る運用では、誰が返信したかが分からず、対応の重複や放置が発生しやすくなります。INQBOXのダッシュボード上で未対応・対応中・完了の進捗を共有することで、業務の属人化を防ぎ、少人数の体制でも確実な顧客対応を継続できます。

今後の展望とまとめ

INQBOXは、Web制作やサイト運用の実務において見過ごされがちだった「問い合わせ管理の摩擦」を取り除くために生まれました。

今後は、利用者のフィードバックを受けながら、CRMツールや各種コミュニケーション基盤との外部連携を順次拡充していく予定です。また、受信した問い合わせ内容の傾向を要約する機能など、日々の返信業務をさらに支援する仕組みの開発を進めてまいります。

まずは小規模なサイトや個人プロジェクトでも手軽に試していただけるよう、無料プランを用意しています。アカウントを作成後、フォームIDを発行してHTMLへ埋め込むだけで、数分後には運用を開始できます。詳細はINQBOX 公式サイトをご確認ください。

パーティーハード株式会社では、受託開発の現場で得られた知見をもとに、日々の業務効率を実質的に高めるソフトウェアの提供を今後も続けてまいります。

望月 涼太 / polidog

望月 涼太 / polidog

Co-Founder / Web Engineer